価値検証における MVP を捉え直す

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Oct 25, 2021
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プロトタイプとMVPの間に「コア体験を満たす運用可能な最小限のプロダクト」を
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デザインプロトタイプの限界

若干とらえている文脈と異なるものはありそうだが、最近自分も価値検証の仕方色々あるなと感じてきており思う節があるので、今の頭のなかにあることをメモ的に残しておく。以下、ツイートにある通り自分自身プロトタイプでの検証の限界を最近感じつつあり(もちろんヒアリングスキルや聞き方で改善できるところはあるだろうが)、新しい価値の検証時には「いかにしてコア体験を満たす運用可能なプロダクトをつくれるか」を最近考えることが多い。実際に行動が自然に生まれるのかまで踏み込んで検証できるので、より確信度が高い状態で Go サインを出すことができるからだ。

コア体験を満たす運用可能な最小限のプロダクト

新規プロダクトをつくる際にプロトタイプの反応が良かったら、MVP を本腰いれて開発する流れになりがちだが「本当につくったら使ってもらえるのか?」と自問して一歩立ち止まる勇気を持ちたい。使われないプロダクトをつくったり、つくりなおすということは極力避けたいからだ。もちろん明確な正解を追い求めるとなると切りがないので、つくりながら直すというのは前提スタンスにはあるけれども、あらかじめ不確実なところは極力なくしておくのが望ましいだろう。使ってもらえるか分からないサービスにリソースをかけるのはある種の賭けになる。
ここで求められるのは、「コア体験を満たす運用可能な最小限のプロダクト」という概念だと思う。MVP とは本来そういうことを指すとは思うのだが、概念が大きかったり色々な文脈を含んでいるので別の名前で呼んでみる。
以下、その自分的にポイントになる要素だ。
  • コア体験を満たすもの
  • 実際に触って動かせるもの
  • 3日以内に形にできるもの
  • 検証が終わったら継続運用はしないもの(割り切る)
3日で形にできないのであればコアを突き詰めるべきであろうし、継続運用を前提にすると考えることが多くなり時間がかかってしまうので考えないことにしてみる。その思い切りをすると、急に実現方法や技術選定などが変わってくる。
その際、大切になってくるのが「いかに適切な状況に対して適切なツールを用いれるか」であろう。せっかくなので以下自分の観測内でのメモとして残しておく。プレスリリースや広告やA/Bテストを組み合わせるなどの手段も他にもたくさんあるが、今回は実際に0から形をつくる上でのことにフォーカスする。使いこなし方によっては限界を超えられるのかもしれないので、鵜呑みにせず実際に触りながら使用感を試してもらいたい。

検証の仕方

デザインツール

  • できること:
    • 実現したい形を理想と限りなく近い形でつくれる
  • できないこと:
    • データの作成・編集・探索などの運用
  • 向いていること:
    • コンセプトの検証
Figma
コンポーネントなどを組み合わせ工夫すれば実際にプロダクトかのように触ってもらうこともできる。ただ、使ってもらうにあたって Figma スキルを一部要するところもある。導線を繋いでプロトタイプとして触ってもらうこともできるが、データの入れ込みなどはその際はできなく準備したものをあたかも入れ込んだかのようにして使ってもらう。実際にデータを入れ込む際は触る用のデザインファイルをつくり、そこをいじってもらう。が、限界はありデータの出し入れがある際は運用可能性に乏しい。
Studio
こちらも Figma と同様に自由にデザインをつくることができる。独自ドメイン設定して、公開することもできるため LP をデザインつくったままリリースできるのがすごい。コンテンツ管理もでき、任意のモデルを作成しリレーションも貼れる。他にも、フォームを好きな場所に組み込めたり任意のデータのまとまりをコレクションとして保持して見せる(例えば注目の投稿に対して Featured と投稿のまとまりをつくる)ことができる。あくまで CMS としての用途には向いているが、こちら側があらかじめ用意していないものには対応できないのでリアルタイムなフィードバック性が求められるサービスとして使うには限界がある。(そういう用途は想定されていない)
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多機能 No-Code ツール

  • できること:
    • データの作成・編集・探索などの運用ができる
    • デザインをつくらず用意された View でサクッと作れる(カンバン, ギャラリーなど)
    • API 連携
  • できないこと:
    • 柔軟な View のカスタマイズ
  • 向いていること:
    • 実際に価値を感じ使ってもらえるのかの検証
Airtable
Notion よりも「データ」や「外部との連携」に特化している。View もカスタマイズできたり Apps というところからサイドバーにデータを用いて様々な見せ方ができたり、Automations からさまざまなワークフローを仕込めたりできる便利ツール。できないことはほとんどないんじゃないかと思ってしまうほど高機能。ただ複数DBの行き来や直感的な操作でちょっともどかしいところは多々ある。
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Notion
AirTable よりも「ドキュメント」や「自由なレイアウト」に特化している。同じページの中で複数 View を切り替えることができたり、好きなレイアウトでページをつくりながら DB を埋め込んだりレイアウトを配置することができる。Notion API は β 版で公開しているが、まだ外部との連携はしやすいとは言えない状況(Airtableに比べ)だ。直感的な操作・自由なレイアウトを作れるのが他にはない強みだ。
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最短ミニマムで実装するパターン

  • できること
    • データの作成・編集・探索などの運用ができる
    • 実現したい形を理想と限りなく近い形でつくれる
  • できないこと
    • 基本的にはない(が、相対的に時間かかる)
  • 向いていること
    • 実際に価値を感じ使ってもらえるのかの検証
Supabase + Next.js + Tailwind UI
上記の Notion や Airtable も API を提供しており、DB / API としても利用できるが用意された View を使わないという選択肢をとるのであれば開発体験が大きな決め手となる。他にも色々な手段があるとは思うが、個人的な推しとしては Supabase.io である。イメージとしては RDB 版の Firebase であり、GUI からテーブルを直感的に作成できる。migration を気にせず柔軟に設計を見直しながら進めることができるので重宝した。また、権限やバリデーションなども簡単に設定できる。
型も設定すれば生成してくれるし、書き心地がとにかく最高。Next.js は zero config で立ち上げてくれるし Web の開発のありとあらゆるポイントが最適化されているので巨人の肩に乗っておきたい。デザインは柔軟に変更に耐えうる Tailwind CSS を用いてさまざまなユースケースに対応している Tailwind UI を一度買っちゃうととても楽になる。実際に上記の技術スタックで半日を使って実際に触ってもらえる状態まで仕上げることができた。長期には耐えうることは前提としないからこそ、思い切って設計しているところも大きいが早く実現できるのは正義。こういうのはテンプレート化しておくとどんどん立ち上げが早くなってくるのでレシピ化しておくのがオススメだ。

最後に

自分的な今の整理としては、コンセプトの検証や理想体験を見せるのはデザインツールが最強。実際に価値を感じ使ってもらえるのかの検証は多機能 No-Code ツールが便利。それでもコア体験を満たせるものが形にできなければ、ミニマムで実装することも視野に入れるのがいいという見方をしている。
ただ Notion や AirTable だけでは伝わりづらいニュアンスもあると思うので、最初にデザインツールでつくったプロトタイプなどを見てもらってコンセプト自体の確信を得てから実際に触ってもらうのがお互い認識のズレなくはいっていけると思う。
とはいっても目的や状況に置いてベストな選択肢は何か変わってくる。時代も激動の時代でツールは進化したりものすごい勢いで増えていたりする。そんな時代だからこそ引き出しを増やしながら、自分のベストプラクティスを見つけつつも価値検証における手札を見直し続けていきたい。
今回はつくり方にフォーカスしてしまったが、モノがあるだけでも価値検証はできるとは限らないのでどのように見てもらったり触ってもらうのかも合わせて考える必要がある。場の設計についても模索中なのでまた書きたい。

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