Column:水のように溶け込む音楽

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Mar 5, 2025
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music
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Weightless - Marconi Union について
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Marconi Unionの「Weightless Ambient Transmission Vol.2」を聴きながら、ある疑問が浮かんだ。なぜこの音楽を流すと、こんなにも集中できるのだろう?
この作品は、その名の通り「重力のない」感覚を生み出すアンビエント音楽だ。リズムは緩やかで、ほとんど気づかないくらいに変化する。音色は空気のように軽く、そこにあるようでいて、存在を主張しない。
実は「Weightless」の元になった曲は、サウンドセラピストと共同で制作され、科学的に「最もリラックスできる音楽」として設計されたという逸話がある。イギリスのマインドラボという研究所での実験では、この曲を聴くと被験者のストレスレベルが65%も減少し、心拍数や血圧の低下が確認されたそうだ。
Video preview
アンビエント音楽には、脳の集中を助ける特徴がある。一定のテンポや調性を保ちながらも、予測可能すぎない微妙な変化。これが脳に「安全だけど退屈ではない」という状態をもたらす。聞き流せるほど主張せず、かといって単調すぎることもない絶妙なバランス。
Marconi Unionの音楽は、テンポも人間の安静時の心拍数に近い。だから聴いていると、思考だけが浮遊するような不思議な感覚になるのかもしれない。
音楽は時に、集中の邪魔になることもある。歌詞があったり、激しいリズムの変化があったりすると、どうしても意識がそちらに引っ張られる。でもこの「Weightless」は違う。存在感を消すことで、逆に思考の存在感を高めてくれる。
まるで音の絨毯の上を、自分の考えが自由に歩き回れるような感覚。それがこの音楽の魔法なのかもしれない。

© yokinist

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