善意の裏側

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Feb 26, 2025
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友人とたまたま古着の話をしていて「古着を途上国に送ると新しい社会問題を作ってしまう」と聞いてハッとした。
善意のつもりで行った支援が、思わぬところで波紋を広げる。例えば、大量の古着が寄付されると、現地の繊維産業が競争できなくなり、地域経済が崩れてしまうことがある。一見すると良いことをしているように思えて、実は複雑な影響を及ぼしているのだ。
これは古着だけの話ではない。食料支援が現地農家の市場を破壊したり、無料の物資配布が自立への意欲を削いだり。「支援」という言葉の持つ響きの良さに隠れて、見えなくなってしまう側面がある。
善意が絶対的に良いとは限らない。むしろ、善意こそが時に最も危険な偏見を生み出すのかもしれない。「私は良いことをしている」という自己満足が、相手の声に耳を傾ける姿勢を曇らせてしまうから。
大切なのは、単純な二項対立的な「支援は良い/悪い」で判断するのではなく、その複雑な影響を理解しようとする姿勢なのだろう。地域の文脈、歴史、経済構造、文化的背景…そうした多角的な視点を持つことで、初めて見えてくる景色がある。
支援という名のもとに、自分たちの価値観を押し付けてはいないか。それが本当に相手のためになっているのか。そして、その「ため」を誰が定義しているのか。
こうした問いに向き合いながら、もう少し謙虚に、そして注意深く世界と関わっていきたい。善意の名のもとに、偏見を運んでしまわないように。

© yokinist

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