Column:音楽を処方する
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date
Feb 23, 2025
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tags
boyaki
music
summary
日常に溶け込む音の効能を探る
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朝の公園での散歩に、Brian Enoのゆるやかに溶けていくアンビエントを。呼吸を整えながら歩く足取りに、音が寄り添う。画面に向かう時間には、Donato Dozzyのどこか遠くで波打つ反復的な電子音。夜のお風呂後には、Jon Hopkinsが紡ぎ出す音響の広がりの中に身を委ねる。
音楽は、その時々の心の状態に効く薬のようなものだ。浮遊するような音の粒が心を整え、繊細なリズムが思考を促し、広がりのある音響が意識を解き放つ。それぞれの瞬間に、ちょうど良い処方箋がある。
面白いのは、同じ症状でも効く音が少しずつ変わっていくこと。先週はBoards of Canadaの温かみのある電子音が心地よく感じられたのに、今週は透明感のある音色が必要になる。気分や天気、その日の予定によって、求める周波数が微妙にシフトしていく。
でも、それも電子音楽という薬の魅力かもしれない。無数にある音色とリズムの中から、その時の自分に必要な振動を探し出していく。その過程自体が、一つの治療であり、音による瞑想なのだ。
音楽は、時に興奮剤となり、時に鎮静剤となる。心が求める音を、耳は正直に教えてくれる。